EVENT | 2024/02/16

予算は度外視?! 各社が意地をかけてド派手な演出を披露! ProLight&ProVisual2024イベントレポート

2024 年 2月 14日(水)~16日(金)の3 日間、東京ビッグサイトで開催

文・写真:カトウワタル(FINDERS編集部)

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2024 年 2月 14日(水)~16日(金)の3 日間、東京ビッグサイトで、プロの舞台演出家のための舞台照明・映像の専門展示会「ProLight&ProVisual(プロライト プロビジュアル)2024」が開催された。(主催:ProLight&ProVisual2024実行委員会、一般社団法人日本能率協会)

ProLight&ProVisualは、2015年に舞台照明メーカー・代理店が集まる展⽰会としてスタートし、2020年からは舞台・イベント映像のエリアを追加、隔年にて開催している。今回の開催では過去最大となる28社278小間が出展。さすが舞台演出の展示会だけあってド派手な照明や映像が会場の至るところに設置されており、ビジネス展示会とはまったく違った雰囲気があった。

出展者はそれぞれ最新機材やシステムを惜しみなく出品し、第一線の現場で活躍しているオペレーターによる演出デモンストレーションなどが行われていた。

本記事では、ProLight&ProVisualの会場で見ることができた最新機材や注目すべきブースなどについてご紹介したい。

過去最大となる28社278小間が出展

映像LEDは湾曲形状がトレンドに?!予算1億円以上のブースも登場!

最初に紹介するのは、映像演出・制作を手がけ、長年に渡りイベント業界を牽引してきた「株式会社レイ」だ。意外なことに今回が初の出展ということだが、LED壁面をブース全面に施し「ELECTRIC CIRCUS」をテーマに生成AIを活用して制作されたというビジュアルを放映、迫力のあるブースで周囲を圧倒していた。担当者によると「普段のイベントでこれほどの機材を使ってここまで演出をすることはまれ」と言い、さらに予算感を聞いてみると「ご請求させていただくことを想像してざっと概算を積んでみたら、1億以上でした!」と笑顔で答えてくれた。

デジタル映像演出を手がける「株式会社レイ」のブース

そして今回映像機器関連の出展ブースで数多く見られたのが、レイのブースでも見られた湾曲状に配置されたLEDだ。これは縦横50cmの平面状のLEDパネルに少しずつ角度をつけて配置する方法や、LEDパネル自体が曲がっている物を使う方法があり、後者の方がより滑らかに湾曲を描くことができる。

パネル自体が湾曲形状になっているROE製LED(2.3mmピッチ)

ライブなどエンターテイメント業界を支える企業が数多く出展

また、ProLight&ProVisualには、当然ながら音楽ライブやフェスなどのエンターテイメントイベントを主戦場にする企業が数多く参加している。その代表的な企業のひとつが「エルテック株式会社」だろう。エルテックは、特にライブ・コンサートの老舗で数々のアーティスト等から常に斬新な演出を求められるエンターテイメントシーンを支えてきた。エルテックのブースでも最近のトレンドである大型の湾曲形状のスクリーンを前面に配置していた。

湾曲状に設置されたエルテックの大型LEDスクリーン(エルテック株式会社のブース)

ラスベガスの「Sphere」で採用された振動トランスデューサー「MOVER」を体感

続いて紹介するのが、ライブエンターテイメントに限らず、企業イベントや大規模カンファレンス、展示会などB to Bビジネスなども数多く手がける「株式会社映像センター(AVC)」だ。AVCのブースでは、ラスベガスの「Sphere」で2,800個も採用されている振動トランスデューサー「MOVER」を使用し、映像・音響と連動した体感型の演出を行っていた。

ラスベガスの「Sphere」でも採用された振動トランスデューサー「MOVER」
「MOVER」が組み込まれた床から映像・音と連動した振動が伝わる

また、ProLight&ProVisualの特徴としては、普通の展示会ではバックヤードなど表には見せないオペレーションエリアをあえて公開している点があげられる。舞台演出のプロフェッショナルを対象とするイベントならではの展示だ。

AVCのオペレーションエリア

東京ビッグサイトのレギュレーションぎりぎり?!1,000インチの特大LEDが登場!

また今回、会場奥のエリアで一際目立っていたのが、東京ビッグサイト東7ホールの天井ぎりぎりまで立ち上がった1,000インチのLEDビジョンだ。これは「株式会社アイレス」の「ビジョンカー」で、トラックの荷台部分から伸びる土台で大型LEDをリフトアップすることができる。トラス等の土台を施工する必要がないので比較的短時間に設置することができ、震度6〜7クラスの耐震と風速20mにも耐えうる設計とのこと。スポーツ中継やドライブインシアターなど各種イベントで屋内・屋外問わず使えるという。

東京ビッグサイトの天井に届きそうな1,000インチのLEDビジョン
トラックの荷台部分から伸びる土台でLEDをリフトアップすることができる

圧倒的な光量を持つ照明機材「OPTIMUS」が参考出品

続いて照明機材のエリアで存在感を示していたのが、コンサートやライブ、演劇などエンターテイメントシーンを支えてきた「株式会社東京舞台照明」だ。今回の出展では、なんと110万ルクスという照度(一般家庭のリビングなどでは通常50〜100ルクスが基準値と言われている)を誇る「OPTIMUS」という照明機材が参考出品されており、会場全体をゆっくりとサーチしている様は驚異すら感じた。

参考出品「OPTIMUS」力強い光線を発していた(写真中央部分)

また東京舞台照明のブースでは、第一線で活躍する照明デザイナー、プランナーによる圧巻のデモンストレーションが行われており、来場者の注目を集めていた。

東京舞台照明ブースでの演出デモンストレーションには多くの来場者が集めっていた

照明・映像業界が一体となってエンターテイメントを盛り上げたい

今回開催された「ProLight&ProVisual2024」では、展示以外にもエンターテイメント業界における事例紹介や出展者によるプレゼンテーションなど、数多くのセミナーが開催されたほか、主要各社が実行委員会を組織することで、業界全体を盛り上げていくための施策も行われていた。

特にライブ・エンターテイメント業界の次世代を担う学生の来場を促すとともに、会場内に「学生ラウンジ」を設け、出展企業と学生とが交流できる場の創出にも積極的に取り組んでいた。

最近大きな盛り上がりを見せつつあるライブ・エンターテイメント業界、コロナ禍の厳しい落ち込みを経験したからこそ、業界全体で結束し市場を盛り上げていこうという熱意と勢いを感じたイベントであった。

ProLight&ProVisual2024


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