CULTURE | 2025/09/10

「完璧さ」より「共感」 ― SNS時代の「キラキラ疲れ」が生んだZ世代の新たな笑いの価値観

79%が支持する自虐ネタと、誰も傷つけない皮肉の観察眼

FINDERS編集部

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「弱さ」を笑いに変えて自己肯定へ

Fiom合同会社のシンクタンク 「Z-SOZOKEN (Z世代創造性研究所)」 は、最新調査研究レポート『Z世代の笑いの感覚』を発表した。その第2章インサイトサマリーでは、Z世代が強く共感する 「自虐・愚痴のお笑い」 と 「皮肉な観察によるお笑い」 に焦点を当てている。

調査によれば、79%のZ世代が自分のだらしなさや失敗談をネタにしたコンテンツに共感を示した。完璧な理想像を追うのではなく、むしろ怠惰さや弱みをさらけ出すことが安心感をもたらしている。SNSに溢れる “キラキラ投稿” に疲弊した世代にとって、インフルエンサーの隙やネガティブな一面はむしろ親近感を与える存在となる。自虐は単なる自己卑下ではなく、「自分だけではない」 という共感を生み、結果的に自己肯定感を高める行為として機能している。

一方で、身近にいる少し変わった人や、誰もが薄々気づいていた言動を言語化する 「皮肉なお笑い」 も支持を集める。特徴的なのは、特定の人物を真似るのではなく類型として描写するため、直接的に誰かを傷つけない点にある。共通の違和感を可視化し、皮肉っぽく共有することで 「それあるよね」 と共感を呼び、炎上リスクを避けつつ笑いを成立させるZ世代らしいバランス感覚が浮かび上がった。

Z-SOZOKEN所長でFiom合同会社 CEOの竹下洋平氏は 「今回の調査で79%が自虐ネタに共感を示したことは、Z世代が完璧であることへのプレッシャーから解放を望んでいるサインだ」 と指摘する。作られた理想像よりも 「素」 の部分にこそ価値を見出し、人間味を感じられる弱みや失敗談に共感する。この傾向は企業やブランドにとっても重要であり、Z世代とつながるためには美辞麗句だけでなく、少しの弱さをユーモアに変える表現や的確な人間観察が不可欠だと強調している。


Z世代の笑いの感覚についての意識調査
調査対象:全国のZ世代(18~24歳)
調査期間:2025年5月~6月 調査方法:インターネットアンケート
有効回答数:453名 調査分析:Z-SOZOKEN(Fiom合同会社)

調査研究レポートダウンロードページ
https://z-sozoken.studio.site/report-01/download

Fiom合同会社
https://fiom-llc.studio.site/