LIFE STYLE | 2025/11/22

三方五湖の静けさに包まれる旅
再エネ遊覧船でめぐる 「三方五湖ネイチャークルーズ」 の魅力

ラムサール条約湿地を静かに渡る電池推進船が就航

FINDERS編集部

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

三方五湖の自然を“音のない航走”で味わう新クルーズ

福井県美浜町レイクセンターが運航する 「三方五湖ネイチャークルーズ」 は、三方五湖の豊かな自然を五感で味わえる体験として注目を集めている。海、山、川、湖が凝縮されたこの小さな町では、地域の魅力をより深く伝えるため、国内で初めて再生可能エネルギーで航行する電池推進遊覧船を開発した。

遊覧船が巡る三方五湖は、「日向湖」 「久々子湖」 「水月湖」 「菅湖」 「三方湖」 の五つの湖から成り、国の名勝であり若狭湾国定公園にも指定されている。平成17年にはラムサール条約登録湿地として認められ、平成31年には日本農業遺産にも選定された。世界的にも貴重な湿地生態系を有し、四季の移ろいがそのまま湖面に映り込む。

クルーズには、29席のFRP製遊覧船 「クート」 と、31席のアルミ製遊覧船 「グリーブ」 の2隻が就航する。どちらも水鳥に由来する名を持ち、船尾には240個のリチウムイオン2次電池を搭載する。太陽光などの再生可能エネルギーを用いるため、CO2や排気ガスは排出されず、エンジン音も振動もほとんどない。湖面を渡る水鳥のように静かに進むため、自然観察や野鳥観察に最適である。

電力システムは東京海洋大学との共同研究で設計され、片側に不具合が生じても航行を継続できる冗長性を備える。観光船としての快適性に加え、環境負荷の最小化と安全性を高い水準で両立させている点も、このクルーズの特徴である。

静かに走る遊覧船船

ルートの中でも象徴的なのが、久々子湖と水月湖をつなぐ 「浦見川」 だ。約360年前、地震による水害を防ぐ目的で人工開削された水路で、その歴史的背景と静謐な景観が訪れる人を惹きつける。

約360年前に開削された人工水路「浦見川」

今回、遊覧コースの名称が 「三方五湖ネイチャークルーズ」 として新しく生まれ変わった。久々子湖を出発し、浦見川、水月湖、菅湖へと巡る約50分の航程は、観覧デッキから360度のパノラマが広がり、季節によりまったく異なる表情を見せてくれる。再生可能エネルギーを活用した電池推進船での航行は、旅そのものをよりサステナブルな体験へと導く。

水月湖を囲む美しい山々の稜線

自然と調和する“音のない航走”によって、三方五湖の静けさや生命の息づかいがより鮮明に感じられる。ぜひ、一度訪れてみてはいかがだろうか。


三方五湖ネイチャークルーズ|美浜町レイクセンター
福井県三方郡美浜町早瀬24-4-1
TEL:0770-47-5960 FAX:0770-47-5961
https://mihama-lakecenter.com/home/