街そのものを舞台にした「人間メディア」へと変貌
福岡県内を中心に展開されてきた「AD Nomiya(アドノミヤ)」が、ブランドコンセプトを「歩く広告」から「コミュニケーションメディア」へと刷新した。AD Nomiyaは、頭上に前後2面の大型モニターを装着した担ぎ手が街を歩き、広告映像を放映する“可動型メディア”である。従来は映像を見せることを中心に据えていたが、今回の進化では担ぎ手の衣装や演出、歩行ルートまでを設計し、街そのものを舞台にした双方向型の広告体験を重視する。
担ぎ手は広告出稿主の理念や商品を理解し、共感したうえで「伝える人」として現場に立つ。その場で通行人と自然に会話を交わし、商品を試すことができるため、SNS広告やマス広告では実現しにくい「リアルな納得感」を届けられる。AD Nomiyaは単なる動くモニターから「話しかけてみたくなる存在」へと変わり、広告のあり方を再定義しようとしている。
AD Nomiya誕生は、中小規模の飲食店や小売店にとって、マス広告はコストが高く、SNS広告もタイムラインの仕組みやターゲティングの限界により「その街を実際に歩いている人」に確実に届くとは言えない、といった課題が背景にあるという。さらに、ウェブ広告の多くは一方通行であり、生活者が疑問を投げかけたり体験したりする機会はほとんどない。
こうした状況の中、AD Nomiyaはあえて「歩く」というアナログな手段を選択、一歩一歩を接点に変え、担ぎ手が実際にサービスを試した体験を交えて語ることで、従来の広告にない説得力と信頼感を生み出している。街中で生まれる偶然の出会いが、広告そのものを「体験」に変える仕組みを目指している。
広告が情報の押し付けではなく、共感を通じた行動変容を促す未来を描いているAD Nomiya。今後の展開に注目したい。



AD Nomiya(アドノミヤ)
https://adnomiya.com/