LIFE STYLE | 2026/10/18

電波も隣家もない雪国で、"無"に還る禅サウナ。消えかけた集落に挑む

福島・南会津の古民家一棟貸し禅サウナ、支援募集を10月31日まで実施中

FINDERS編集部

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電波も隣家もない集落で、"無"に還る禅サウナという挑戦

雪が音を吸い込むほどの静寂の中で薪ストーブの炎と向き合い、氷点近い雪解け水に身を委ねる——。そんな"何もない"ことを贅沢に変える禅サウナ体験が、福島県南会津町の集落でひっそりと始まっている。

サウナイン株式会社(大阪市西区、代表取締役・久田一男)が展開する禅サウナリトリートブランド「sauna9」は、同町押戸(おしど)集落にある古民家を一棟貸しの禅サウナ「Edge sauna 9 Minamiaizu(エッジサウナイン福島南会津)」として再生し、2026年8月6日に開業した。施設はすでに営業を始めているものの、耐震補強を含む本格的な改修を進めるため、クラウドファンディングサイト「For Good」でプロジェクトを立ち上げた。目標金額は100万円、募集期限は2026年10月31日(土)である。

押戸集落があるのは、かつて会津西街道の宿場町として栄え、茅葺きの曲家が連なる"日本の原風景"が残る南会津町だ。だが現実は厳しい。町の人口は60年で約半分に減り(29,786人→14,451人)、2020年時点の高齢化率は41.9%で、2050年には58%に達する見込みだという。空き家率は17.4%と県平均を上回り、南郷地域は特別豪雪地帯に指定され、冬の最深積雪は2.4mを超える。雪の重みで潰れていく空き家もあるこの集落で、「10年後にはもう存在しないかもしれない」という地元の声が、プロジェクトの出発点になった。

薪の炎と雪解け水、音のない雪景色がもたらす"無"への回帰

sauna9が掲げるのは「Nature for Sauna」という思想だ。周囲に人家がなく、電波もほとんど届かない押戸集落の環境そのものを、都市で暮らす人にとって最も贅沢な資産と捉え、古民家を一棟貸しのサウナリトリートに仕立てた。

薪ストーブの炎と向き合う「薪サウナ」、南会津の清流からそのまま引いた「天然水風呂」、一面の雪が音を吸い込む静寂の中で過ごす「外気浴」——熱と冷たさと静けさを通じて、坐禅にも似た"無"の境地に至ることを目指す構成である。隣家のない孤絶した環境だからこそ得られる「ととのい」は、都市型サウナとは一線を画す体験だと言える。

人が訪れる流れが生まれれば、冬の間は雪の音しかしなかった集落に人の声が戻り、宿の営みが生む売上や雇用が、古民家の手入れや景観保全へとつながっていく。都市と集落を往復する新しい人の流れをつくることが、このプロジェクトが見据える目標である。

改修費を募るクラウドファンディング、支援の使い道とリターン

募集方式はAll-in方式で、目標金額に届かない場合でも計画は実行され、リターンは届けられる。支援金の使い道は、古民家の改修・耐震補強に50%、薪サウナや水風呂の設備に25%、集落の景観保全やアプローチ整備に15%、残り10%をリターン発送や運営費に充てる計画だ。リターンの発送と宿泊券の利用開始は2027年1月下旬を予定している。

リターンには、サウナイン施設の宿泊で使える利用券(2,500円〜)のほか、エッジサウナイン福島南会津を最大6名で貸切利用できる1泊2日宿泊券(数量限定の超早割は25,000円)、南会津を含む全国8拠点のサウナイン施設で使える宿泊券(49,000円)などを用意した。2027年2月には南会津でのオープニングイベントも予定されている。

「便利さの物差しでは不便で何もない場所かもしれない」と語る久田代表は、都市で暮らす人がときどき集落に還り、火を焚き清流に浸かって自分を取り戻す——そんな循環を押戸から生み出したいという。薪の炎と雪の静寂の中で日常から離れる時間を求める人にとって、支援を通じてこの集落の"最初の灯"に関わる機会として、プロジェクトの詳細を確認してみてはいかがだろう。


【福島県・南会津】消えかけの集落を、"禅サウナ"事業で盛り上げたい
(対象施設:Edge sauna 9 Minamiaizu Fukushima(エッジサウナイン福島南会津))
実施サイト:For Good
目標金額:1,000,000円
募集期間:2026年10月31日(土)まで
募集方式:All-in方式
対象施設所在地:福島県南会津郡南会津町(押戸集落)
リターンお届け・利用開始:2027年1月下旬予定
運営会社:サウナイン株式会社

公式サイト
https://for-good.net/project/1004240