BUSINESS | 2025/06/16

「失敗する発注を減らしたい」
good productionsがメディア運営で目指す
WEB制作の楽しい未来

モチマス ミサ さん インタビュー

文・写真:FINDERS編集部

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WEBサイト制作を発注するとき、数多くの制作会社の中から「自分たちに合った会社」を見つけるのは、簡単なようで難しい。費用、納期、実績、得意分野……どこを基準に選べばいいのか分からないまま、なんとなく安さやスピードを優先してしまい、結果的に「思っていた仕上がりと違った」「やり直しになってしまった」といった“発注の失敗”も少なくない。

そんなミスマッチを少しでも減らしたいという思いから生まれたのが、国内の優秀なWEB制作プロダクションを紹介するメディア「good productions」だ。ただの紹介サイトではなく、掲載されているのは運営者自身が「ちゃんとしている」「この会社を紹介したい」と感じた企業だけ。営業をかけてくる会社を載せるのではなく、独自の視点で掲載を決めるというスタンスを貫いている。
今回は、good productions 運営の中心人物であるモチマス ミサさんに、メディア立ち上げの背景や、掲載の基準、そして業界への思いについてじっくりと話を伺った。

ちゃんと価値を伝えられる場がほしかった

good productionsのルーツは、実は運営者自身の制作会社での営業活動にある。SEOや流入施策を実施していく中で徐々に増えてきたのが、制作単価を重視した見積もりの依頼だったという。

「Web制作って、“とりあえず制作費を知りたい”っていうご相談も多くて。でもそれって、そもそも“何を伝えたいのか”や“どんな目的でやるのか”っていう視点が抜け落ちてしまうんですよね。どうしたら、発注前の段階で正しい判断をしてもらえるんだろう?それを考え始めたのがきっかけなんです。」

当時オフィスがあった五反田界隈で、仲の良い制作会社や広告代理店にもヒアリングを行い、見えてきたのは「選定基準になるようなメディアがあればいいのに」という声。既存の紹介サイトは数多くあるが、その多くは制作会社側の営業的な目的で成り立っているものも多く、発注側の企業にとっては何千社、何万社の選択肢から要件にマッチする素敵なプロダクションを見つけづらい。

「だったら、自分たちが尊敬する・イケてると思えるプロダクションを、勝手に紹介するメディアを作ってみようと。発注企業さまにとって、一つの選定基準を提案してみようと。今もその“やってみよう”の続きをずっとやって今に至るという感じです。」

その“やってみよう”が、今では多くの企業とWEB制作プロダクションをつなぐ実用的なメディアに成長している。

優れたWeb制作会社のまとめサイト「good productions」

足を運び、声を聞き、手間をかける。

現在掲載されている プロダクションは、全国から厳選された約100社。驚くべきは、そのすべてに対して運営者が一社ずつ情報を収集し、丁寧に選定しているということだ。

「日本には法人登録されているWEB制作会社だけでも1万5千社あるらしいんですよ。その中から、独自のリストを作ったり、他社の調査データを見たり、常に情報を更新しています。どんどん新しい会社ができては消えていきますが、更新したリストをずっと見ていくことを大切にしないとメディアの信憑性が欠けてしまうので。」
関東圏だけでなく、地方の制作会社も対象としており、必要があれば地元のイベントやセミナーに足を運び、直接話を聞いたうえで掲載を判断することもある。

「“うちはそういうメディアに載るのはポリシーとしてやっていない”っていう会社さんもいらっしゃるんです。それでも、お話しをさせてもらって、場合によっては“ぜひ載ってほしい”とお願いすることもあります。」

また、掲載基準として意外なポイントなのが「価格帯」だ。単にクオリティや実績を見るだけでなく、「安さだけで選ばれることで発注が失敗する」という構造を避けるため、価格に対する姿勢もしっかりチェックしている。

「クオリティとか実績は絶対なんですけど、実は制作の“価格帯”という基準もあるんです。パッケージで“○○万円でLP作ります”みたいな会社さんは掲載をお断りしています。あくまでオーダーメイドで、きちんと話をしながら作っていく姿勢があるかどうか。正規の価格で、伴走しながら質を求めていく会社に発注したいと思っている企業さんに届けたいんです。」

数が多いだけの紹介メディアではなく、「ちゃんと探している人が、ちゃんと出会える」こと。そのために、手間を惜しまない姿勢が貫かれている。

仕事も、考えも、流通していく世界に。

モチマスさんは、ファッション雑誌の編集からWEBデザインと制作プレイヤーの経歴を持ち、ものづくりや現場での会話が大好きな人だ。

「クリエイター同士で、“あの人の仕事すごかったよね”“あの案件やばかったよね”って盛り上がる瞬間がすごく好きで。飲みの場でもそんな話をするのが楽しいんです(笑)。」

そうした“現場の空気”を愛しながらも、ただのおしゃべりで終わらせず、「どうやってその熱量を世の中に流通させるか」という視点を持ち続けている。制作という行為が、もっと自由に、もっとオープンに、もっと多様に回っていけば、日本はもっと面白くなる。そんな確信がある。

「最近は大手企業の内製化が進んで、制作の仕事が外に流れにくくなってきているように感じます。でも、いろんな制作会社に仕事が流れていった方が、いろんなアイディアと出会えるし、めちゃくちゃ面白い人や変態的なクリエイティブとも出会える(笑)。それがきっと刺激にもなるし、面白いと思うんです。」

制作の仕事が外に流通すれば、考えも一緒に流れていく。それによってひとつの会社だけでは生まれなかったようなアイディアが世に出てくる可能性が高まる──そんな希望を、自然体で語ってくれた。

「クリエイターは技術を吸収しながらプロとして様々なことを提供する。それはやっていかなきゃいけない。そこにお仕事を流通させていくことで考えも流通させていくという市場はすごく活性化するし、きっと楽しいですよね。」

good productionsは、これからも発注企業と信頼できるWEB制作プロダクションをつなぐことでお互いがよい関係となり、そして楽しくなる未来を描いている。


good productions
優れたWeb制作会社やデザイン会社の企業情報、実績のまとめサイト。
https://goodproductionsjp.com/

運営会社
株式会社デパート
https://depart-inc.com/