犬と泊まれる一棟貸しヴィラが浜名湖畔に誕生、プロジェクター付きBBQデッキも備える
愛犬と一緒に、他の宿泊客と顔を合わせることなく湖を望む時間を過ごせる一棟貸しヴィラが、浜名湖畔に誕生する。静岡県浜松市浜名区三ヶ日町に建つ「UMI&mikkabi (ウミト ミッカビ)」は、株式会社スズヒロが2026年10月1日に開業する犬同伴可能な一棟貸し施設だ。三ヶ日ICから車で約5分、浜名湖を望む高台に位置し、浜名湖畔のリトリートブランド「UMI&」としては舘山寺に続く2棟目となる。
定員8名のこの施設は1棟すべてを貸し切る仕組みで、大型犬を含め3頭までの犬と同宿できる。同伴できる場所は1階リビングとBBQテラスに限られるなど条件はあるものの、ペット可の一棟貸し施設は浜名湖エリアでも数が限られており、愛犬連れの旅行先を探す家族にとって選択肢の一つになりそうだ。
屋外のBBQデッキにはプロジェクタースクリーンが備わり、映画やスポーツ観戦を楽しみながら食事ができる。他の宿泊客と顔を合わせることのない貸し切り空間で、家族や友人、愛犬だけの夜を過ごせる点が、この施設の大きな特徴である。
チェックインはタブレットによるセルフ方式で、フロント対応を待たずに滞在を始められる。料金は4名までで85,000円からで、5名目以降は1名につき11,000円、犬1頭につき5,500円が加算される仕組みだ。延床面積は99.46平方メートルで、住宅宿泊事業法にもとづく届出住宅として運営される。
全国2位の別荘県・静岡が抱える『使われない一軒』という課題の正体
この開業の背景には、静岡県が抱える別荘問題がある。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家は900万2千戸で空き家率13.8%と、いずれも過去最多を更新した。このうち別荘などの「二次的住宅」は静岡県に38,500戸あり、長野県に次いで全国2位の多さだという。
浜名湖周辺も例外ではない。昭和期のリゾート開発で建てられた別荘の多くは、所有者の高齢化や世代交代とともに使われる機会を失い、年に数回、あるいは何年も人が訪れないまま管理費と固定資産税だけがかかり続けている。売却しようにも買い手はつきにくく、解体するにも費用がかかるのが実情だ。一方で浜名湖は、日帰りや通過型の観光が中心で、宿泊滞在型への転換が長年の課題とされてきた地域でもある。「泊まれる場所が足りない」地域と「使われていない建物」が同じエリアに存在しているという状況に、同社は事業のヒントを見出した。
実際にこの発想から生まれたのが、1棟目の「UMI&kanzanji」(浜松市西区舘山寺町)である。別荘としての利用が減っていたタイミングで所有者から相談が寄せられ、一棟貸しヴィラとして再生した物件だ。2025年12月から2026年9月までの10か月間で97組・105泊の利用があり、総売上は11,675,180円、平均客室単価は111,192円にのぼるという。
オーナーの竹内氏は、父の他界後ほとんど使わなくなっていた家について「使っていないのに、手間と心配ばかりかかる家だった」と振り返る。宿泊施設として整備されたことで建物や設備が更新され、家族が再び泊まりに行くようになった一方、使わない日はゲストに貸し出して収入も得られるようになったという。「貸し出す=手放す」ではなく、使い続けながら収入を得るという発想の転換が、この物件を通じて実現した形だ。
UMI&mikkabiの開業に合わせて、同社は浜名湖周辺の別荘所有者向けに、宿泊施設への転換・運営を代行する「別荘活用サポート」も開始する。想定されているプランは、集客やブランディング、予約管理を代行し清掃や光熱費などの運営費用はオーナーが負担する「ライト」(オーナー取り分は売上の50〜60%)と、清掃や消耗品、光熱費を含め運営全般を代行する「フルサポート」(同20〜30%)の2種類だ。既存棟の実績にもとづく試算では、1棟あたりの年間売上は1,300万〜1,500万円になるという。
住宅宿泊事業法(民泊)の届出や消防法令適合、保健所対応といった行政手続きも同社が実務ごと代行する。所有者にとって最大の障壁である「手続きが分からない」「運営できない」という壁を取り除くことが狙いだ。
同社は2026年度内に、浜名湖を望むインフィニティデッキとサウナを備えた3棟目「UMI&hamanako(仮称)」の開業も準備しており、今後3年間で浜名湖周辺の別荘10棟を宿泊施設化する目標を掲げている。代表の古橋氏は「泊まる理由と泊まれる場所さえあれば、通り道は目的地に変わる」と語り、東京と大阪の間に位置しながら通過されてきた浜松を、訪れる街へと変えたいと考えている。
維持費だけがかかっていた一軒の別荘が、犬と静かな時間を過ごせる宿へと生まれ変わったように、浜名湖にはまだ活用を待つ別荘が数多く残っている。愛犬とのゆったりした滞在先を探している人はもちろん、空き家や地域資源の活用に関心がある人にとっても、UMI&mikkabiとその先の展開は一度確かめておきたい取り組みだ。
UMI&mikkabi(ウミト ミッカビ)
所在地:静岡県浜松市浜名区三ヶ日町都筑623-14
アクセス:東名高速 三ヶ日ICから車で約5分
開業日:2026年10月1日(木)
定員:8名(1棟貸切)
延床面積:99.46㎡
チェックイン/チェックアウト:15:00/11:00
ペット:犬のみ同伴可(大型犬含め3頭まで、条件あり)
駐車場:普通車3台
料金:85,000円〜(4名まで)/5名目以降1名11,000円追加/犬1頭5,500円
予約:公式サイトより受付
営業形態:住宅宿泊事業法にもとづく届出住宅
公式サイト
https://umito.life/