消費者が旅行に求めるものは、観光地巡りから人とのつながりや自己成長へ
世界有数のビジュアルコンテンツクリエーターであり、マーケットプレイスを展開するゲッティイメージズが、旅行広告におけるビジュアル表現の最新トレンドを発表した。同社のビジュアル調査 「VisualGPS」 と、Getty ImagesおよびiStockにおける検索・ダウンロード傾向をもとに、旅行業界の企業やブランドが消費者の共感を得るためのポイントを分析している。
日本の旅行市場では、消費者が旅に求める価値が変わりつつある。かつては有名な観光地を訪れること自体が旅行の主要な目的だったが、SNSの普及などを背景に、特に若い世代では旅先で得られる体験や人とのつながりを重視する傾向が強まっている。
VisualGPSによると、日本の消費者の88%が 「旅行は文化を理解するうえで重要である」 と回答した。また、85%が 「旅行は家族や友人とつながる良い方法である」 、78%が 「旅行は心身のケアと自己成長に不可欠なものである」 と考えている。
ゲッティイメージズの検索データでも、旅行関連のビジュアルを探す際に 「気分転換」 や 「温泉 家族」 といった、これまであまり見られなかったキーワードが直近1年間で使われるようになったという。旅先の知名度や景観だけではなく、誰と何を体験し、どのような気持ちになれるのかが重視され始めている。
美しい風景だけでは届かない。旅行者が自分を重ねられるビジュアルが必要に
消費者意識の変化に伴い、旅行業界に求められるビジュアル表現も、壮大な風景や観光地の雰囲気を伝えるものから、現地での体験を具体的に想像できるものへと変化している。
ところが、日本の旅行業界で実際にダウンロードされたビジュアルコンテンツの84%には、人物が写っていなかったという。人物が登場する場合でも、壮大な風景を眺める後ろ姿を捉えたものが多く、表情や人との交流、文化的な多様性までは十分に表現されていない。
風景を主役にした写真は、その土地の美しさやスケールを伝えるうえで有効だ。しかし、家族や友人とのつながり、文化への理解、心身の回復や自己成長を旅行に求める消費者にとっては、心理的な距離や孤独感につながる可能性もある。
重要なのは、見る人が 「自分にもこのような体験ができそうだ」 と感じられることだ。旅先での表情や人との関係性、食や文化との出会いを描くことで、ビジュアルと消費者との心理的な距離を縮められる。
地域の日常や人々の表情を描き、旅そのものをひとつの物語として伝える
ゲッティイメージズは、共感を生む旅行ビジュアルのポイントとして、その土地ならではの文化や日常、人とのつながりを表現することを挙げている。
観光名所を絵葉書のように切り取るだけでなく、地域の食や暮らし、人々の交流を捉えることで、その場所を地元の人が実際に生活する土地として伝えられる。旅行者が現地でどのように過ごし、何を感じられるのかまで想像できる表現が求められているのだ。
また、一枚の美しい写真だけではなく、複数のビジュアルを組み合わせ、時間帯の変化や旅先での何気ない瞬間を描くことも有効である。出発から現地での交流、発見、心境の変化までをひとつの物語として見せることで、旅がもたらす没入感や心身のリフレッシュを伝えやすくなる。
人物を描く際には、後ろ姿だけでなく、表情や周囲の人との関係性に目を向けることが重要だ。一人の旅行者が現地の人や同行者と触れ合い、その体験を通じて何を感じ、どのように変化したのかを表現する。それが、消費者の感情を動かす旅行広告につながる。
旅の魅力を伝える主役は、もはや風景だけではない。その場所で過ごす人の時間や感情、関係性まで可視化できるかどうかが、これからの旅行広告における重要な視点となりそうだ。
Getty Images「VisualGPS」
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