手動操縦から完全自動遊泳へ、ペンギンロボットが迎えた進化のとき
ロボットが、誰の操作も受けずに自分の意思で水の中を泳ぐ――そんな光景が、和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド」で見られるようになった。舞台になるのは、本物そっくりのフンボルトペンギンを模したロボットである。
これまでスタッフの手動操縦でしか動かせなかったアニマルロボットが、センサーによる状況判断と自律制御プログラムによって「完全自動遊泳」を実現した。開発を手がけたのは、アドベンチャーワールドを運営する株式会社アワーズの社内サークル「ココロボ」と、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)発のスタートアップである株式会社ROBOZOOである。ロボット本体の設計・製作をココロボが、基板設計やセンサ実装、自律制御プログラムの開発をROBOZOOが担当し、両者の共創によって自動遊泳ペンギンロボットは形になった。自動遊泳ペンギンロボットは2026年10月16日(金)より、センタードームで展示が始まった。
手動操縦の時代には、アニマルエデュテイナーが操る間だけの限定展示だったが、自動化によって展示時間が大幅に伸び、より多くの来園者が目にできるようになった。ロボット単体の技術的な驚きだけでなく、長時間の常設展示を可能にする運営上の価値にもつながる進化だといえる。
本物のペンギンと並べて見せる、「いのち」を問いかける展示設計
展示は、センタードーム内に新設されたフンボルトペンギン展示場で行われる。実際に暮らす本物のペンギンと、ロボットペンギンを隣り合わせに配置し、一定で滑らかなロボットの動きと、本物の生きものが見せる豊かなふるまいを見比べられる構成だ。展示時間は平日が午後2時から4時まで、土日祝が午後0時15分から2時15分までとなっている。
「ココロボ」リーダーの岡田育磨氏は、「本物の動物の隣にロボットを展示するという取り組みは、まだあまり例がないと思う」と話す。ただ見るだけでなく、違いや共通点に気づくことで生きものへの理解を深めるきっかけになればという狙いがある。一方、ROBOZOO代表の秋吉拓斗氏は、ロボット自身がその場の状況に応じて泳ぎ方を変えるよう制御を設計したと説明し、「本物のペンギンとロボットが並ぶ光景は、なかなか見られるものではない」とコメントしている。
ROBOZOOは、NAISTの研究チームを前身に持つスタートアップで、2025年の大阪・関西万博「TEAM EXPOパビリオン」への出展や、学生起業家の登竜門とされる第22回キャンパスベンチャーグランプリ全国大会での優勝、文部科学大臣賞・テクノロジー大賞の受賞といった実績を持つ。大学発の研究知見をエンタメ施設の現場に実装していく動きとして、ビジネスの観点からも注目できる事例である。
技術の精度だけでなく、「生きものとは何か」を考えさせる仕掛けとして設計された今回の展示は、子ども向けの学びの場であると同時に、ロボティクスやスタートアップの動向に関心がある大人にとっても、一度見ておきたい事例だといえるだろう。
自動遊泳ペンギンロボット展示
日程:2026年10月16日(金)〜
場所:センタードーム内 フンボルトペンギン展示場(アドベンチャーワールド、和歌山県白浜町)
時間:平日14:00〜16:00/土日祝12:15〜14:15
開発:株式会社アワーズ公式サークル「ココロボ」(ロボット本体の設計・製作)× 株式会社ROBOZOO(基板設計・センサ実装・自律制御プログラム開発)
公式サイト
https://robozoo.jp/