引退した路線バスが薪サウナに生まれ変わる「サバス」の仕組み
かつて街を走っていた路線バスの車内で、薪の香りと静かな蒸気に包まれながら「ととのう」。そんな非日常の体験を全国各地へ運んできた移動型サウナバス「サバス」が、2026年度グッドデザイン賞を受賞した。株式会社リバースが、サウナ専門メディア「サウナイキタイ」を運営する株式会社サウナイキタイ、株式会社OSTRと連携して展開するサービスであり、2022年3月のサービス開始から5年足らずで、日本のデザインを代表する舞台に立ったことになる。
サバスの本質は、単なる廃車両のリメイクではない。引退したバスという「動かせる箱」に本格的な薪サウナを組み込み、「サウナそのものが好きな場所へ移動する」という新しい体験価値を生み出した点にある。バス特有の幅や奥行き、既存の構造を活かしながら空間を再構成したデザインも、審査で高く評価されたポイントだ。
さらに、引退した路線バスを単なる移動手段ではなく「遊休インフラ」として捉え直し、バス事業者にとっての新たな収益源や、設置された地域の活性化につながる仕組みとして提供している点も特徴である。乗り物としての役目を終えた車両に、体験を売るという新しい役割を与えた発想は、モビリティと地域経済を結びつける事例として読み解くこともできる。
1号車から4号車まで、地域と連携しながら広がってきたサバスの歩み
サバスは2022年3月にサービスを開始し、1号車は神姫バス株式会社が運行していた路線バスを改造して関西を拠点に数多くのイベントや事業者へ提供されてきた。2024年8月には、より多くの人に体験を届けるため、東急バス株式会社の車両を改造した2号車が関東拠点として加わっている。
2025年9月には、サバス初となる「地域パートナー展開」として静岡鉄道と連携し、静岡名産の茶をモチーフにした「ご当地サバス」3号車の運行が始まった。さらに2026年5月には遠州鉄道グループと連携し、浜松名産のうなぎをモチーフにした4号車も登場している。地域の名産をデザインに取り込みながら台数を増やしてきた経緯は、単発の話題づくりではなく、各地に根づく仕組みとして育てられてきたことを物語る。
受賞を記念し、2026年10月31日(土)から11月4日(水)まで開催される「GOOD DESIGN EXHIBITION 2026」では、サバスの紹介資料も展示される。引退したバスが「動くサウナ」として地域を巡る姿は、廃車両の再利用にとどまらず、移動そのものを楽しみに変える発想として読み解ける。サウナ好きだけでなく、遊休資産の活用に関心があるビジネスパーソンにとっても、実際に乗車してその発想を体感してみたい一台である。
移動型サウナバス「サバス」
運営会社:株式会社リバース
受賞企業:株式会社リバース、株式会社サウナイキタイ、株式会社OSTR
サービス開始:2022年3月
展開車両:1号車(関西・神姫バス株式会社の車両を改造)、2号車(関東・東急バス株式会社の車両を改造、2024年8月運行開始)、3号車「ご当地サバス」(静岡鉄道と連携、静岡茶モチーフ、2025年9月運行開始)、4号車(遠州鉄道グループと連携、浜松うなぎモチーフ、2026年5月運行開始)
受賞:2026年度グッドデザイン賞
展示会:GOOD DESIGN EXHIBITION 2026(2026年10月31日(土)〜11月4日(水))
公式サイト
https://www.g-mark.org/gallery/winners/37035?text=%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%83%90%E3%82%B9&years=2026