豊洲・晴海・木場のタワーマンションに、ドローンで荷物を届ける実証が始まる
タワーマンションでの宅配受け取りには、思いのほか時間がかかる。1棟あたりの館内配送作業時間は1日225分に達し、そのうち約120分はエレベーター待ちや移動に費やされているという。ドライバー不足が叫ばれる「2024年問題」に加え、輸送の小口化・多頻度化による効率低下も重なり、宅配便の再配達率が9.5%にのぼる東京では、都市部特有の配送負荷が一段と深刻な課題となっている。
こうした課題に向けて、株式会社NEXT DELIVERY、その親会社である株式会社エアロネクスト、そして大和ハウス工業株式会社の3社によるコンソーシアムが、東京都デジタルサービス局が実施する「都市部でのドローン物流サービスの社会実装促進事業」の臨海部エリアに採択された。対象となるのは豊洲・晴海・木場エリアで、タワーマンションへのドローン配送をマンション付帯の共用インフラとして導入し、都内の他物件へ展開できる標準モデルを確立することを目指す取り組みだ。
事業は採択日から2028年3月31日まで実施される予定で、2026年度にはルート検証と1機体によるレベル3.5飛行実証を、2027年度には実際の注文・荷物を用いた定常配送実証と最大5機による複数機運航検証を行う計画である。有人地帯での目視外飛行となる「レベル4」飛行を見据え、まずはレベル3.5の実証を重ねながら、住民向けのデモフライトなど社会受容性の検証も進めていく。東京都からは補助率1/1の財政支援(2026年度最大3,000万円、2027年度最大5,000万円)も受けられる見通しだ。
この布陣を支えるのが、NEXT DELIVERYとエアロネクストがこれまで積み重ねてきた運航実績である。両社は2022年からモンゴル・ウランバートル市内で血液を配送する完全自動・目視外飛行を定常運用化し、2026年9月末までに累計800回以上を飛行させてきた。2025年11月には和歌山市で、人口集中地区を含むルートでの日本初となるレベル3.5の定常配送モデルの実証にも成功している。地域物流を集約・効率化する新スマート物流「SkyHub®」を含め、国内の運航実績は累計4,500回以上、うちレベル3.5は1,800回以上(いずれも2026年9月末現在)に及ぶ。
一方の大和ハウス工業は、住宅・建築・まちづくりで培った開発力を生かし、2024年に創設した新規事業創出制度「Daiwa Future100」の最終審査を通過した案件として本プロジェクトに参画する。役割分担としては、NEXT DELIVERYが事業統括と運航オペレーションを担い、エアロネクストがドローン機体と運航システム、デジタルツイン技術を提供し、大和ハウス工業が離発着場やエリアの管理、住民・管理会社との調整を担当する。居住者にとっては非対面受け取りによるプライバシーや防犯面の向上、住宅開発・管理側にとっては物件の付加価値向上につながるほか、橋梁被災時など臨海部が孤立した場合の医薬品や粉ミルクなど緊急物資を届ける手段としても機能する見込みだ。
実証を通じて得られたデータや成果は、商用サービス化や都内の他の集合住宅・他地域への展開、そしてレベル4・複数機運航への移行につなげていく計画だ。空の物流が暮らしのインフラとして定着していく過程を追いたい読者にとって、この臨海部での実証は見逃せない動きである。
臨海部におけるタワーマンション付帯型ドローン配送サービスの社会実装プロジェクト
採択事業:東京都「都市部でのドローン物流サービスの社会実装促進事業」(臨海部エリア)
実施主体:株式会社NEXT DELIVERY、株式会社エアロネクスト、大和ハウス工業株式会社によるコンソーシアム
対象エリア:東京都臨海部エリア(豊洲・晴海・木場エリア)
事業実施期間:採択日〜2028年3月31日(令和10年3月31日)
主な取組:2026年度(令和8年度)はレベル3.5飛行実証、2027年度(令和9年度)は定常配送のサービス実証
財政支援:東京都による補助率1/1の支援(2026年度最大3,000万円、2027年度最大5,000万円)