積み重ねた設計の記憶を、未来のデザインへつなぐ試み
建築の設計現場では、完成した建物だけでなく、そこに至るまでの試行錯誤や蓄積された知見こそが次のプロジェクトを支える資産になる。だが情報が増え続ける今、その蓄積は十分に読み解かれず、眠ったままになっているケースも少なくない。
株式会社日建設計は、2026年11月16日(月)から2027年1月29日(金)まで、日建設計東京ビル1・2階にて、デジタルデザイン展「Information × Intelligence ― 蓄積を、デザインの知へ ―」を開催する。本展は、同社のDigital Design Lab(DDL)が2011年の設立から約15年間に積み重ねてきたデジタルデザインの実践と、450件以上のプロジェクトを通じて蓄積された情報・知識・経験、そしてその相互のつながりを可視化する企画である。
DDLは「想像を体験へ、体験から価値を」をミッションに、環境シミュレーションやデータビジュアライゼーション、自動設計、XR、デジタルファブリケーションなど多様なデジタル技術を建築・都市領域に取り入れてきた専門組織だ。本展が焦点を当てるのは、個々の技術や成果物そのものではなく、データを情報へ、情報を知識へ、知識を知恵へと高めてきたプロセスと、異なるプロジェクトの間で知見が受け継がれていく関係性である。
450件の設計知を結ぶ「アトラス」と、手で触れる体験型展示
展示は大きく3つの構成で、DDLの歩みをたどる内容になっている。1階では、これまで手がけてきたプロジェクトについて、完成した建築や成果物だけでなく、デザインが生まれるまでの検討過程や試行錯誤を紹介する。同じフロアでは、過去450件以上のプロジェクトの関係性を可視化した「アトラス」も展示される。一見つながりのなさそうなプロジェクト同士にも共通する技術やテーマが存在し、それらが相互につながりながら次の設計へ受け継がれてきた様子を読み取れる構成だ。
2階フロアでは、実際に手を動かして体感できるインタラクティブな展示を用意する。大画面マップでは過去のプロジェクトと新技術の研究開発とのつながりを身体的な操作で探索できるほか、小径木材を効率的に建材化した擬角材の開発展示や、図面を差し込むと断面の3Dモデルを確認できるシステムなど、設計プロセスの一端を直接体験できる仕掛けが並ぶ。
建築や都市開発の専門家でなくても、組織に蓄積された知見をどう可視化し、次の仕事に生かすかという視点は、ナレッジマネジメントやデータ活用に関心のある読者にとっても参考になるはずだ。15年という時間の中でデータが知恵へと変わっていく過程を、会場で実際に見て、触れて確かめてみてはいかがだろう。
Information × Intelligence ― 蓄積を、デザインの知へ ―
会期:2026年11月16日(月)〜2027年1月29日(金)
会場:日建設計 東京ビル 1・2階
主催:株式会社日建設計(Digital Design Lab)
公式サイト
https://www.nikken.jp/ja/