「公式」が広告の定石になる一方、IT業界だけがAIへ乗り換えている
検索結果に表示される広告のタイトルには、企業が検索者とどう向き合おうとしているかがそのまま表れる。株式会社ストリートが2026年4月から9月までの半年間、人材・ブライダル・法律事務所・保険・金融・IT・健康食品・教育・不動産の9業界を対象にリスティング広告の訴求ワードを調査したところ、9業界中7業界で最も多く使われていた言葉は「公式」だった。信頼性を示すだけでなく、競合による指名買いや類似サイトとの差別化を狙う動きが、業種を問わず定着していることがうかがえる。
ただし、すべての業界が同じ言葉で競っているわけではない。法律事務所業界では6か月連続で「相談」が最多を維持し、2026年9月時点で57.5%の広告主が使用していた。続く「無料」(39.0%)、「無料相談」(21.9%)とあわせて見ると、相談への心理的な敷居を下げる言葉がこの業界の広告戦略の軸になっていることが分かる。
もっとも変化が大きかったのはIT業界である。「AI」を使う広告主の割合は2026年4月の7.9%から9月には12.7%へと、半年で約1.6倍に伸びた。7月には11.0%に達して初めてこの言葉がトップに立ち、9月も「公式」(13.7%)に次ぐ2位につけている。生成AIをめぐる導入トレンドが、広告の文言という最前線にもそのまま反映された格好だ。
自社の配信画面だけでは見えない「業界全体の訴求」を追えるデータメディアを開設
リスティング広告は多くの業界で集客の中心的な手段になっている一方、広告主が管理画面で確認できるのは基本的に自社の配信データに限られる。同業他社が何社出稿し、どんな言葉で訴求しているかという業界全体の動きは、広告運用者であっても普段は見えにくい情報である。
ストリートは今回の調査結果を継続的に参照できるようにするため、データメディア「ISSEKI 検索広告ラボ」を開設した。9業界の出稿社数の月別推移や訴求ワードの割合、キーワード別の出稿社数ランキングを毎月更新し、各データは表計算形式でダウンロードできる。出典を明記すれば引用・転載も可能だという。サイトではオークション分析の読み方や除外キーワードの設定方法を解説するコラム、検索広告やAI検索をテーマにしたセミナーのアーカイブも公開している。
同社が提供する「ISSEKI」は、自社名やサービス名で検索した際に表示される競合他社の広告を検知し、出稿企業への除外依頼から取り下げまでを支援するサービスであり、今回のラボはそのサービスで蓄積したデータを活用している。自社の広告文言が時代の変化に取り残されていないか気になる担当者は、同ラボで業界全体の動きを確認してみるとよいだろう。
検索広告の訴求ワード調査(データメディア名称:ISSEKI 検索広告ラボ)
調査主体:株式会社ストリート(指名ワード対策サービス「ISSEKI」の調査データを使用)
調査対象:人材、ブライダル、法律事務所、保険、金融、IT、健康食品、教育、不動産の9業界
調査キーワード:業界ごとに設定した一般キーワード(6〜10語)
調査エリア:47都道府県
調査媒体・デバイス:検索エンジン(Googleなどの主要媒体)・デバイス(PC/スマートフォン)
調査期間・頻度:2026年4月〜9月(訴求ワードの分析期間)、毎月1回
公式サイト
https://www.street-inc.com/search-ad-lab/