EVENT | 2026/10/30

渋谷の記憶を声で継ぎ、才能が隣り合う11月。9つの扉が同じ階で開く

渋谷ヒカリエ8/で2026年11月、写真展や若手作家展、福祉フォーラムなど9企画開催

FINDERS編集部

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街の記憶を声でも残す。「渋谷アーカイブ写真展2026」が2年目に見せる新しい試み

渋谷ヒカリエ8階のCreative Space 8/で、2026年11月に多彩な展覧会やイベントが同時に展開される。渋谷という街がどのように変化し、何を受け継いでいくのかを考えさせられる企画が並ぶ中、特に注目したいのは2年目を迎える「渋谷アーカイブ写真展2026」である。

2025年展では「渋谷の通り」をテーマに、街に残る写真の数々を展示した。2026年はそのテーマを引き継ぎながら、新たに住民や関係者の声を集めた「オーラルヒストリー」を取り入れる点が大きな変化だ。写真という静止した記録に、人々の記憶という時間の厚みを重ねることで、街の変化をより立体的に捉え直す試みである。

会場には大正末期の渋谷駅舎の写真など新たな資料も加わり、渋谷の通りをプロットした地図やタイムライン、さらにGoogleストリートビューで現在の風景と見比べられる展示も用意される。主催するCommons Archive Collectiveは、渋谷の記録を未来へ繋ぐことを目的に活動を続けており、都市の記憶をどう残すかという問いは、再開発が進む渋谷に限らず、変わり続けるあらゆる街にとって考える価値のあるテーマだろう。入場無料で、会期は11月10日(火)から11月23日(月・祝)まで、8/COURTにて開催される。

若手からベテランまで、世代をまたぐ作家たちの展覧会が一堂に

8/CUBEとBunkamura Gallery 8/では、世代もジャンルも異なる作家たちの展覧会が11月を通じて続く。渋谷ヒカリエでは初開催となる「KAMIYAMA ART 12th Exhibition」は、2026年3月に修士課程を修了した18名の若手アーティストによる絵画作品を紹介する展覧会で、前年度の受賞作5点も併せて展示される。これから活動の場を広げていく作家たちの、今この瞬間の表現に触れられる機会である。

同じ8/CUBEでは、パリの画家マリー・ルプティとガラス作家の熊谷峻による二人展「Tidings」も開催中だ(10月22日(木)〜11月3日(火・祝))。重なり合う色彩で宇宙的な空間を描くルプティの絵画と、古代ガラスを思わせる質感を持つ熊谷の作品が呼応し合う構成で、11月17日(火)からは北青山・南青山のアートラボ所属作家によるグループ展「VU!Ⅵ」も続く。

Bunkamura Gallery 8/では、彫刻家・瀬戸優による個展「CIRCULATION 2」が4年ぶりに開催される。テラコッタで野生動物を象る瀬戸の作品は、生と死の気配を宿す骨をテーマにした新シリーズを中心に約40点が並び、会期中には公開制作イベントも予定されている。続く11月12日(木)からは、花をモチーフに赤を基調とした作品で知られる笹尾光彦の個展が29回目を数える節目の年を迎える。一つのフロアで、キャリアも表現もまったく異なる作家たちの仕事を見比べられるのは、渋谷ヒカリエらしい巡り方だろう。

アートの外側にも広がる、福祉・手仕事・宿という社会的なテーマ

Creative Space 8/の11月プログラムは、美術の展覧会だけに留まらない。8/COURTと8/CUBEでは、障害者をはじめとするマイノリティへの意識変容を目指す「超福祉の学校@SHIBUYA 2026」が11月26日(木)から開催される。最先端の学校教育やインクルーシブ教育の事例を紹介するシンポジウムはライブ配信・アーカイブ配信も行われ、会場に足を運べない人も参加できる設計になっている。

11月3日(火・祝)には、静岡・浜松を拠点に半世紀以上染めの仕事を続ける染色家・山内武志を迎えたワークショップとお話会も開かれる。型染めの技法「がっぱずり」を実際に体験できるほか、師である芹沢銈介のもとで過ごした日々から88歳の今も続く制作までを、本人の言葉で聞ける貴重な機会だ。

d47 MUSEUMでは、9月から続く企画展「NIPPONの47人 2026 CULTURAL STAY」が11月29日(日)まで開催されている。宿が「泊まる場所」から文化的な交流が生まれる「活動の場」へと変化する中、47都道府県から一人ずつ、その土地の宿を切り拓く主を紹介する展覧会である。トークイベントやショップも併設され、旅のかたちそのものを考えさせる内容になっている。

アート鑑賞を目的に訪れても、福祉や手仕事、地域の宿文化といった異なるテーマに自然と触れられるのが、渋谷ヒカリエ8/という場所の面白さだ。気になる企画をいくつか選んで、11月の渋谷を巡ってみてはいかがだろう。


渋谷ヒカリエ8/ Creative Space 8/ 2026年11月の展覧会・イベント
会場:渋谷ヒカリエ8階 Creative Space 8/(8/COURT・8/CUBE・Bunkamura Gallery 8/・d47 MUSEUM)
開催期間:2026年10月22日(木)〜12月1日(火)(企画ごとに会期が異なる)
入場料:原則入場無料(一部ワークショップは有料、d47 MUSEUMはドネーション形式)

公式サイト
https://www.hikarie8.com/