BUSINESS | 2026/09/25

「町という宿に、泊まる。」
飫肥のまちづくりがJR九州アワードで大賞に

宮崎・飫肥の分散型ホテルや古材循環拠点の取り組みがJR九州の最高賞『大賞』に

FINDERS編集部

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町全体を「面」で再生する発想が、JR九州の最高賞に選ばれた

宮崎県日南市の飫肥 (おび) 城下町を拠点に建築設計とまちづくり事業を手がけるPAAK DESIGN株式会社が、九州旅客鉄道株式会社 (JR九州) 主催の「九州観光まちづくりAWARD2026」で最高賞となる『大賞』を受賞した。今年度は過去最多となる107件の応募が集まり、その中から大賞に選ばれたのは2組のみである。

同社が評価されたのは、単体の施設や店舗を再生するのではなく、飫肥城下町そのものを「点」ではなく「面」として捉え、持続可能な形でまちづくりを進めてきた点にある。歴史的建造物が数多く残るこの城下町で、宿泊・古材循環・交流拠点という異なる切り口の事業を組み合わせ、地域の暮らしと経済を同時に動かしてきたことが受賞の背景にある。

中心となるのが、空き家や歴史的建造物を改修した分散型宿泊施設「PAAK HOTEL」である。町に点在する古民家を一棟ごとに客室として再生し、町全体を一つのホテルに見立てる仕組みで、代表的な一棟「犀」は築100年の古民家をそのまま生かしている。宿泊者はフロントから客室へ移動するのではなく町を歩いてチェックインすることになり、宿泊そのものが飫肥のまち歩き体験と重なる。

もう一つの柱が、取り壊される古民家などから生じる古材や古道具をレスキューし、次の空間づくりへ循環させる「PAAK STOCK」である。毎週火曜と土曜に開かれるこの倉庫は、廃棄されるはずだった建材や家具に新たな役割を与える拠点であり、まちの記憶を物として次の世代に渡していく仕組みとして機能している。

さらに今年6月には、歴史的な洋館「旧梅村邸」を改修した「ベーカリーおびにたすき」がオープンした。飫肥の石材や古家具を生かしながら現代的なデザインを組み合わせた店内は、住民と来訪者が交差する新たな交流拠点となっている。

築100年の古民家を再生した、PAAK HOTEL犀
毎週火・土曜に開かれる古材・古家具倉庫、PAAK STOCK
6月にオープンした、ベーカリーおびにたすき(旧梅村邸)

受賞を受けて、2026年12月2日(水)には東京都内で表彰式とシンポジウムが開催される。「九州観光まちづくりAWARD」としては初めての東京開催となり、大賞受賞者であるPAAK DESIGN代表・鬼束準三氏による特別基調講演やトークセッションを通じて、同社の取り組みと九州のまちづくりの「今」と「未来」が発信される予定である。

古民家や洋館といった既存の資源を壊さずに生かし、宿泊・循環・交流という複数の事業として町全体に編み込んでいくPAAK DESIGNの手法は、地方都市の空き家問題や後継者不足に向き合う一つの実例といえる。歴史的な町並みを訪ね、そこに息づく再生の物語に触れてみたい人にとって、飫肥は次の旅先の候補になりそうだ。


PAAK DESIGN株式会社

https://paak-design.co.jp/