渋谷の仮装ブームとは裏腹に、過半数の若者が「なにもしない」ハロウィンを選ぶ
渋谷のスクランブル交差点や道頓堀に仮装した若者が集まる光景は、毎年ハロウィンの時期にメディアを賑わせる定番の風景である。だが、10代・若年層専門の調査会社「株式会社ワカモノリサーチ」が14歳〜20歳の男女587人を対象に実施した調査によると、今年のハロウィン(10月31日(土))を「楽しむ予定がある」と答えたのはわずか44.6%で、「ない」と答えた若者が55.4%と過半数を占めた。街の喧騒から想像するイメージとは裏腹に、令和の若者の多くはハロウィンに特別な予定を立てていない。
「ない」と答えた若者の声で目立ったのは、そもそもハロウィンを特別な日として過ごす習慣がないという本音だ。「毎年ハロウィンは何もやってないから」「何もしない家庭だから」といった回答が示すように、仮装やパーティーを楽しむ文化は、すべての若者に共有されているわけではない。「仮装するのがめんどくさい」「そんなにお金ないから」「楽しみ方がわからない」という回答からは、参加するまでの準備や出費に見合う楽しみが思い浮かばない様子もうかがえる。
高校生からは「受験勉強で忙しいから」「定期テストがあるから」「部活の大会と重なっているから」といった、学校生活の優先順位を挙げる声も多く寄せられた。一方で「まだ友達とその話題が出てない」という回答も少なくなく、現時点で予定がないだけで、友達からの誘い一つで「ある」に変わる可能性を残す若者も一定数含まれているようだ。
反対に「ある」と答えた44.6%の若者は、友達や恋人との約束、「高校生活ラストハロウィンだから」といった節目の特別感を理由に挙げた。「友達とハロウィンプリ撮りたいから」「インスタに投稿したいから」など、仮装そのものより写真や投稿を楽しみにする声も目立つ。学校でのお菓子交換や家族でのパーティーなど、大きな繁華街に出かけずに楽しむ予定も多く聞かれ、若者にとってのハロウィンは、普段の生活に添える「ちょっとした+α」という位置づけに近いようだ。
仮装への温度差がさらに際立つ、「したいキャラクターがない」が55.9%という本音
仮装・コスプレへの関心となると、さらに温度差は開く。「ハロウィンの仮装でしてみたいキャラクターはあるか」という質問には、「ない」が55.9%、「ある」が44.1%となり、こちらも仮装に興味を示さない若者が多数を占めた。「コスプレに興味がないから」「お菓子が貰えれば十分だから」といった回答が示すように、ハロウィンを楽しむことと仮装をすることは、若者の中では必ずしも同じ意味ではないようだ。
「自分がやると恥ずかしいから」「人がやっているのを見に行くだけで満足」という回答が多く寄せられた点は興味深い。渋谷の仮装を「かわいい」と眺めることと、自分がその格好で人前に立つことの間には、若者の中でも明確な線引きがあるらしい。衣装の購入や準備にかかる手間・費用を理由に挙げる声もあり、年に一度のためにどこまでお金や時間をかけるかを、冷静に見極めている様子もうかがえる。
一方、してみたいキャラクターが「ある」と答えた44.1%からは、好きなアニメやゲームのキャラクターから、骸骨やチャッキーといった本格的な仮装、着ぐるみやふざけた格好まで、幅広い回答が寄せられた。完璧な再現を目指す人もいれば、その場を盛り上げる格好を選ぶ人もおり、仮装にかける熱量と目指す仕上がりは一様ではない。
してみたい仮装が「ある」と答えた若者にキャラクターを尋ねたランキングでは、1位は特定の作品に紐づかない「ポリス(警察官)」(7.3%)、2位は「天使と悪魔」(6.9%)、3位は「ゾンビ」(3.9%)、4位は「猫」(3.5%)、5位は「メイド」(3.1%)という結果になった。「天使と悪魔で友達と対になるようにしたい」という回答があったように、1人で完成させる仮装より、誰かと組み合わせて楽しむ仮装が選ばれやすい傾向もみえる。
「コスプレスでいい」という発想が映す、令和のハロウィン観とマーケティングへのヒント
今回の調査結果に合わせてワカモノリサーチが紹介しているのが、仮装をしない「コスプレス」な若者に向けたハロウィンソング「コスプレス・ハロウィン」(芦沢教授)だ。日本のハロウィンがいつから「コスプレ大会」になったのかという問いを投げかけるトランス楽曲で、仮装が前提になりがちな令和のハロウィン観に一石を投じる内容になっている。
渋谷や道頓堀の仮装姿は、ハロウィンの「分かりやすい絵」としてメディアに取り上げられやすい。しかし今回の調査が示すのは、過半数の若者が仮装や外出を前提にせず、学校でのお菓子交換や家族・友人との時間など、身近な範囲でハロウィンと向き合っているという実態である。季節のイベントに合わせた商品企画やキャンペーンを考える上でも、「渋谷の喧騒」だけを若者像として捉えると、実際の過半数を見落としてしまうことになりかねない。
仮装にお金や勇気を使わなくても、お菓子や写真、身近な人との時間で十分楽しめる。それが令和の若者にとってのハロウィンのようだ。10月31日が近づくこの時期、街の仮装姿だけでなく、こうした「コスプレスでいい」という若者たちの本音にも目を向けてみると、季節イベントの捉え方が少し変わってくるかもしれない。
https://www.youtube.com/@ASHIZAWAKYOJYU
調査主体:株式会社ワカモノリサーチ
調査期間:2026年8月28日(金)〜2026年9月25日(金)
調査対象:全国の14歳〜20歳の男女
有効回答数:587名
調査方法:インターネットリサーチ
公式サイト
https://wakamono-research.co.jp/media/halloween-youth-trends/